ルアー釣り

悪天候で釣りへ行けず家でゴロゴロしていると、やけにかみさんが忙しく立ち働くように思うが気のせいだろうか。

「おい！パッパが居ると、やけに忙しそうやな」と私。

「なによ、少しは動いたらどうよ。ゴロンゴロンしてないで」とかみさん。

ブィーンと掃除機の音。

ヤヤ！

今度は旦那をゴミ扱いする気だな。

さきほど洗濯のついでだと、着ているものを脱がされたばかりである。まるでオイハギだ。

大小２匹の飼い犬が、わざと私にぶつかりながら狭い部屋内を走り回る。

「うぁ〜たまらん、オイオイ、いつもこんなに走りまわっとるのか」と私。

「残念でした。いつもはゲェちゃんも花ちゃんもお昼まで寝てまァ〜す」とかみさんの代弁。

はて、いつの間にうたた寝したのだろう。気がつくと、二匹の犬も私の両脇に寝ていた。オモチャ箱がひっくり返っている。古い鍋蓋、スリッパ、曲がったハエたたき、破れザル等々が散らばっている。私の通勤靴も枕元に転がっていた。こりゃいかん靴噛まれた。私が靴に気を止めたのをゲェ助は見逃さぬ。起き抜けに「ゲェー！」と気合を入れて玄関へ走った。大きな長靴の片方を引きずって来た。　

オオッ！ おぬし、なかなかやるもんじゃのう。

パッパたるもの、お相手せざるを得ませんなぁ。　　　

彼・ゲェのくわえてきた長靴を、隣の八畳の間へポイと投げる。ゲェと花が、長靴めがけてダッ！と走る。くわえて戻ると、また投げる。ダッ！と走る。悪天候の日、釣り師のルアー投げ、かくのごとし。